黄金のローマ 塩野七生(著)
2006年 02月 14日
永遠の都ローマ。
ルネサンス最後の法王パウロ三世と教会軍総司令官の息子、孫の枢機卿、そして...。
華麗なルネサンス歴史絵巻第三部。
『緋色のヴェネツィア』『銀色のフィレンツェ』『黄金のローマ』の三部作、第三弾である。
タイトルにある黄金とは、テヴェレr河の輝きであろうか...。
物語はナヴォーナ広場の一角から始まる。
16世紀のこの時代、今ではナヴォーナ広場の目印ともなっているベルニーニの3つの噴水はまだない。
ルネサンス後期のこの時代、フィレンチェのミケランジェロはこのローマに滞在し、ローマの街造りを担当。
そう、ローマはこの時代、日々、変化を遂げていたと言える。
この時代の法王、パウロ三世はルネサンス最後の法王とも言われる。
パウロ三世自身はファルネーゼ家の出身。
今も残る、ファルネーゼ宮殿は、この時代の改装に由来する。
個人的にはローマで一番好きな通りでもある、ジュリア通り。
ファルネーゼ宮殿(現フランス大使館)付近から望む通りの美しさはこの時代と変わらないのではと思わせてくれる。
表紙の絵は、ティツアーノの「ウルビーノのヴィーナス」。
フィレンチェのウフィッツィ美術館に保存されている。
モデルはおそらく...。
このティツアーノによる、ファルネーゼ家三代の肖像画はナポリに。
ナポリで、彼らに出会ったとき、何とも不可思議な気分に襲われた。
三部作、ラストの作品。
タイトル以上に黄金色の印象を残す作品である。